子どもの嘔吐・下痢

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嘔吐・下痢の主な原因

子どもの嘔吐や下痢が続く場合、原因として多いのはウイルス感染症です。ノロウイルスやロタウイルスが有名ですが、それ以外のウイルスによる胃腸炎もままあります。ロタウイルスは以前は重症化して入院するお子さんがおおくいましたが、今は乳児期のワクチン接種のおかげで、重症化することが減ってきました。

胃腸炎は感染しやすく流行しやすいという特徴があります。お子さんから親御さんが胃腸炎をもらってしまい、つらい思いをするお父さんお母さんも多いです。当院ではお子さんと一緒に受診された方の診療もおこなっていますので、遠慮なくご相談ください。
また、ウイルス性胃腸炎とは別に細菌性の胃腸炎(いわゆる食中毒)はウイルス性の胃腸炎に比べて重症化しやすく、注意が必要です。比較的高年齢(学童期や中高生)に発症するケースがおおく、全身の症状(発熱、倦怠感、腹痛)がウイルス性の胃腸炎より強いことがあります。下痢や嘔吐の回数はウイルス性胃腸炎より少ないことが多いので、全身症状が強い場合は早めに受診しましょう。

嘔吐・下痢の治療法

症状に応じた対症療法と治療を

胃腸炎の治療は嘔吐や下痢による水分喪失を補うのが主な治療です。

ウイルス性胃腸炎をうたがった場合、基本的に治療薬はなく、必要に応じて症状をやわらげるための対症療法を行います。症状がひどい場合は、脱水を解消し水分補給するための点滴を行う場合もあります。細菌性胃腸炎をうたがった場合は、便の培養検査をし、抗生物質を処方することもあります。
どちらの胃腸炎も、嘔吐や下痢の対応や対処療法を行います。

ご自宅での対応

嘔吐・下痢は脱水症状に注意

子どもの嘔吐・下痢が続く場合、脱水に注意しなければなりません。嘔吐・下痢が長引くと、体の水分が失われてしまうので、十分に水分がとれない場合には水分補給をする目的で点滴をしなければならないケースもあります。

嘔吐・下痢が続くときは、経口補水液を飲ませるのがおすすめです。経口補水液は体に吸収されやすいので、体の水分が失われやすい嘔吐・下痢のときにぴったりです。水分補給といっても、水やお茶のみですと、低血糖になりふらふらになります。経口補水液がどうしても飲めない場合は、イオン飲料、ジュースなどを与えてみてください。

ただし、一気にたくさん飲むと嘔吐しやすくなることもあるので、少量(10ml〜20ml)をこまめに(20分おきくらい)飲むことを心がけましょう。また、水分を摂取することは大切ですが、冷たすぎる場合は胃腸を刺激するので、常温か少し温めた状態で飲むのがいいでしょう。

下痢・嘔吐した場合の食事について

嘔吐が落ち着き、脱水症状もなければ可能な範囲で食事をとっても構いません。しかし、症状が落ち着いていても消化管の粘膜にはまだダメージが残っています。消化しにくいもの(例えばお肉、根菜類など硬いもの)脂っこいものは避け、消化のいいものを取らせましょう。塩分補給は大事ですが、急にラーメンやフライドポテトやハンバーグはおすすめしません。お味噌汁やスープなどで塩分を補給しましょう。

家庭内感染の防止対策

嘔吐物や便の処理に注意

胃腸炎は食べ物からだけでなく、患者さんの便や吐物に含まれるウイルスや細菌が付着した部分を触った手を介してうつります。十分な手洗い、消毒が大切です。

また、本人の症状が落ち着いた後でもしばらくは便の中にウイルスが排出されていることがほとんどです。なおっても、おむつの処理やトイレのあとの手洗いなどは気を付けて徹底しましょう。

嘔吐物の処理について

嘔吐物や便には大量のウイルスや菌がいますので、処理には注意しなければなりません。直接触れないようにしながら、すばやくウイルスを封じ込めるように処理しましょう。

嘔吐物を処理するときは、手袋、エプロン、マスク(できればすべて使い捨てのもの)をつけて、新聞紙やペーパータオルなどを嘔吐物全体にかぶせます。その上から、薄めた塩素系漂白剤をかけます。新聞紙やペーパータオルがしっかりと湿る程度の量をかけるようにしましょう。

その後、新聞紙やペーパータオルの中に嘔吐物を閉じ込めるようにしたまま、ビニール袋に入れて処理します。袋の口はしっかり閉じてください。嘔吐物があった場所にはまだウイルスが残っているので、ここにも薄めた塩素系漂白剤を多めにかけて、しっかりふき取ってください。併せて、部屋の換気も忘れずに行いましょう。

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